桂林

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10月

桂林

日本でもおなじみの水墨画の故郷・桂林

日本でおなじみの絵画手法である水墨画はもともと「唐絵」と言われる中国から伝来したものです。
水墨画はもともとは山水画と呼ばれており、鎌倉時代後期に禅宗の修行をしに大陸に渡った僧たちによって持ち込まれたものとされています。

水墨画とは墨のみを画材とした黒色の濃淡によってのみ表現をするという方法で、主に山間部などの雄大な遠景を描くために用いられます。

この山間部を描いた水墨画の主なモチーフとなっているのが桂林です。
桂林は広西チワン族自治区の北東部に位置している都市で、周辺を非常に高い山々に囲まれているということが特長です。

桂林地域にある山々は、日本の多くの地域で見られるような山岳とはかなり形が異なっており個性的なコブのような形状をしています。

これは桂林地域がカルスト地形であることに由来しますが、こと桂林のカルストは世界的にも非常に珍しい「タワーカルスト」と言われるようなものです。

カルスト地形についての詳しい説明はここでは割愛しますが、カルスト台地を構成する石灰岩が気候的環境など特殊な影響を受けることにより特異に変化したというのがこの桂林から見られる山々です。

この桂林独特の山岳地域の景色を見ることができるのが「漓江(りこう)下り」とされるツアーで、小さな船で漓江という川を下っていくことで雄大な水墨画のような景色を眺めることができます。

雄大な桂林観光は2~3泊が必要

中国には数多くの観光地がありますが、桂林という地域の観光目玉はなんといっても豊富な自然です。
漓江下りはマストとしても、その他にも「両江四湖(りょうこうしこ)」や「象山公園(ぞうざんこうえん)」「蘆笛岩(ろてきがん)」「独秀峰(どくしゅうほう)」といったものがあります。

その他の市街地にある観光名所とは異なり、桂林周辺の観光スポットはその雄大さを感じることにこそ醍醐味がありますので早足で全部を回るということは不可能です。

ちなみに先に説明した人気の「漓江下り」はおおむね4時間がかかる川下りツアーとなっています。
4時間というとうんざりする長さのようですが、途中には「九龍戯水(きゅうりゅうぎすい)」というせせり出した苔がまるで水と戯れているかのようなスポットなど多くの見どころがあります。

川下り用の船は豪華客船のような大きなものではありませんが、内部にゆったり座れるソファ付きのものなどもあり、悠久の時間の流れを感じながら景色を体感するというのが正しい観光方法と言えます。

桂林からの船便終着点である陽朔もまた見どころの多い観光地なので、ぜひ数日の予定をとり十分に余裕のあるスケジュールの中で観光をしていってもらいたいです。