1500年前からあったとされる料理
春巻きといえば、日本でもランチやお弁当のおかず、お酒のおつまみとさまざまな場面で大活躍する人気のメニューです。
春巻きには二種類があり、小麦粉の皮で具材を包んで油で揚げるタイプのものと、お米の粉を使ったライスペーパーで生野菜や海鮮食材などを包むものです。
中華料理の一種として存在している「春巻き」は前者の油で揚げるタイプのもののことで、ライスペーパーを使った生春巻きはベトナム料理です。
名前は似ていますが料理としては全く別のものとして考えた方がいいでしょう。
ただベトナム料理にも「揚げ春巻き」というものは存在しており、中華料理として出てくるものとはまた微妙に異なる具材や形状をしています。
中国の春巻きが誕生したのは今から1500年以上は前とされており、東晋時代の宮廷料理として好んで貴族たちに食べられていました。
なぜ「春巻き」なのか?
春巻きという名称は今やすっかりなじんでしまっていますが、改めて考えてみるとどうして茶色の皮で包まれた具材のことを「春巻き」というのかちょっと不思議な感じがします。
英語でも中華料理の「春巻き」はそのまま「spring roll」と呼ばれています。
なぜその名称がつけられたか、ということについては東晋時代の宮廷人たちが春先に野山を散歩したときに見つけた食材をそのまま持っていた薄い餅で包んで食べたからと伝えられています。
すっかりアレンジはされていますがそのため春巻きの具材には春にとれる野菜や食材を使うことが多く、そのことからかつては作られる時期が春の時期だけに限定されていたことで「春巻き」という季節の名称がついたとも言われます。
ただ名称についてはいろいろな説があるので、あまり深い意味はないのかもしれません。
中華料理としての春巻きの特徴
春巻きは飲食店で出される場合でも、皮で中身をすっぽり包み込んだ形のままで出されることが普通です。
そのため食べてみるまでは中に何が入っているかがわからないという特徴を持っています。
中華料理としての春巻きの特徴としては、味が「辛い」か「甘い」かの二種になっていることがあります。
具材としてはひき肉の他にたけのこやしいたけ、カニ、湯葉、ハム、ニラなどの香辛料がお店ごとに工夫を凝らして入れられています。
日本でよく見かける春巻きの場合には、肉まんの中身に近い肉中心のものが多いようですが、本場の広東春巻きは逆に野菜類や湯葉などが中心になっていることもよくあります。
春巻きの「辛い」「甘い」はつけるソースによるもので、点心のセットをたのむと大抵のお店で二種類のつけダレを出してくれます。
お好みにもよりますが、本場で春巻きを食べるならマスタードなど日本ではあまりつけない調味料をつけつつ、たくさんのバリエーションでの味を楽しむようにしてみてください。