中華料理の中でもとりわけ日本になじみが深い四川料理
世界三大料理の一つである中華料理は、日本の食卓文化にも多大な影響を与えています。
中国四千年の歴史の中で生まれた料理は非常に奥深く、地域により独特の特長を備えています。
私達が普段「中華料理」と呼んでいるものにもいくつか種類があり、大きく4つに分類することができます。
より細かい分類方法では9つに分けることもあるようですが、それら分類の中でもひときわ大きな存在感を示しているのが四川料理です。
四川料理の特長は味や調理方法のバリエーションが非常に広く、強烈な香辛料を使った料理が多いということです。
日本でも人気の高い麻婆豆腐やエビチリ、回鍋肉(ホイコーロー)、担々麺といったようなものは全て四川料理が発祥です。
四川料理の最大の特長といえばやはり「麻婆(マーボー)」という名称がつく唐辛子や山椒をたっぷりと使った料理です。
「麻」という感じには「麻痺」という言葉からもわかるように「しびれる」という意味があります。
日本国内の飲食店で出される麻婆麺や麻婆豆腐などはそれほどでもありませんが、本格的な四川料理店で食べる料理は本当に体がしびれるほど辛い味付けをしています。
ちなみに四川料理の発祥の地、四川は中国国土の内陸部にある地域のことです。
中国四大料理の他の3つが海岸沿いにあることと比べると、地理的に大きな違いがあると言えます。
四川料理の代表と楽しみ方
四川料理がなぜそこまで極端に辛いかというと、四川地域が昔から非常に湿度が高く日照に恵まれない地域であったということが関係しています。
日照時間が短い土地であることからそこに住む人達はあまり汗をかくことがなく、代謝量が低めであったとされています。
そのため食品によって代謝を促そうと、汗が出やすい香辛料を多く使用するようになったことが起源とされます。
四川省は現在人口約8000万人を超える巨大な都市で、農作物の生産に適した肥沃な土地であったことから食文化は大きく発展しました。
なお四川料理に多く使われている香辛料が山椒の一種「花椒(ホァージャオ)」で、日本で一般的に使用されている山椒とは比べ物にならないほど強烈な辛味があります。
ただ辛いだけのように思える四川料理ですが、実は辛味を出すための香辛料は全部で6種類あり、それぞれ辛味の印象が異なります。
最も辛いのが花椒を大量に使用した「麻辣(麻辣)」ですが、他にも唐辛子を加えた「香辣(シャンラー)」、香辛料を焦がして香ばしくした「煳辣(フーラー)」、唐辛子をぬか漬けにして風味を付けた「糟辣(ザオラー)」、酸味を加えた「酸辣(スアンラー)」、青唐辛子で青臭さを出した「鮮辣(シェンラー)」があります。