麻婆豆腐

日本でも大人気の四川料理

38f7d07992f9fbc985ca54f3472b0db4_s
日本に最初に入ってきた中華料理は上海料理なのですが、今や日本人の食卓に最も近い位置にまで上り詰めているのは四川料理です。

四川料理は中国大陸の内部にあり、盆地として囲まれた場所で生まれたものなのですが、全体的にピリ辛風のものが多く酸味があることから「麻辣」と表現されることもあります。

そんな四川料理の代表メニューといえば、やはり筆頭は「麻婆豆腐」です。

麻婆豆腐とは豆腐と細かく切った肉、それに少々の香味野菜を入れてピリ辛に炒めた料理です。

日本では「麻婆豆腐の素」として多くの食品メーカーがレトルト食品を販売していることもあり、豆腐さえ自分で別に用意すれば誰でも作れる簡単料理になりました。

日本でよく見られる麻婆豆腐の場合、鮮やかな赤色をしていることが多いのですが、本場の麻婆豆腐では色調的にはどちらかというと茶色に近く、また食べたときの辛味が強烈であるということが大きな違いになっています。

本場の麻婆豆腐の特徴

本場中国料理の麻婆豆腐を食べるなら、やはり発祥の地である中国の四川省と重慶市を訪ねてみるのが一番です。

四川省は中国内陸部南部なので日本からはやや距離がありますが、料理店の数も多く世界各国から多くの人が訪れます。

本場四川料理を食べた日本人の感想を見てみると、やはり一番に挙げられるのが「辛い」ということです。

日本の麻婆豆腐もピリ辛風が美味しい食物ですが、本場の四川料理はそんな和風中華の味のさらに上を行っており、辛さが苦手という人は食べて「痛い」と思えるくらいの強さになっています。

四川料理は全般的にそんな辛さのものが多いので、辛さが苦手という人はコース全てを食べることができないというようなこともあります。

本場の麻婆豆腐のお店としては、「陳麻婆豆腐店」という麻婆豆腐発祥のお店が有名です。

こちらの支店は日本にも出店しているようですが、見た目のインパクトがもう強烈で豆腐一面に山椒の粉がかけられています。

日本でよく見かける麻婆豆腐と本場のものとの大きな違いはこの仕上げの粉で、お店によってはトウガラシの粉末を合わせてたっぷりとかけるようなこともよくあります。

初めて食べると舌がしびれるような強烈な味に驚くのですが、慣れてくるとやみつきになり何度も食べたいと思うようになります。

実際、中国に旅行をして本場の麻婆豆腐を食べたあとには日本でよく見かけるような味では満足できなくなったというような人もいます。

麻婆豆腐の由来について

ところで麻婆豆腐という料理になぜ「婆」という言葉が使われているか不思議に思った人もいるのではないでしょうか。

単なる語呂合わせでつけられた漢字なのかと思いきや、実は本当に老婆が初めて作ったことが料理名の由来になっているのだそうです。

麻婆豆腐の起源とされているのは清の時代である1862年のことで、中国四川省で陳森富という人物が料理店をしていたときでした。

その時主人の陳氏がなくなりあとを引き継いでお店を作っていたのが妻である人物であったことと、その人が豆腐料理を得意としていて最初に考案した豆腐料理であることから高齢女性を示す「婆」がついたのでした。

「麻」の方ですがこれは顔にあばたのあとのことを示す言葉であり、顔にあばたのある老女が作った豆腐料理、すなわち「麻婆豆腐」という名称なのです。

他にも麻婆豆腐の由来については諸説がありますが、一般的にはこのお話が麻婆豆腐の起源として広く知られています。