江蘇料理は4つのエリアの地方料理で構成
「江蘇料理」とは、四川料理・広東料理・山東料理に並ぶ「四大菜系」の1つです。
中国大陸の東部エリアにある江南地方発祥の料理で、上海料理のルーツとなった料理として知られています。
長江が海へと流れ出る河口域にある江南地方は、今で言うところの江蘇省、安徽省、上海市がある地域です。
特に江蘇省には13もの市が集まっており、揚州市や蘇州市などがあるため、江蘇料理を「揚菜(ヤンツァイ)」「蘇菜(スーツァイ)」とも言います。
江蘇料理は4つのエリアの地方料理(南京料理・蘇錫料理・淮揚料理・除海料理)で構成されています。
南京料理は明の時代に繁栄した南京で生まれ、長江沿いにあるため鴨や川魚、野菜などの食材が使われる料理で、代表料理の「塩水鴨」という茹でたアヒル肉を塩漬けした料理が有名です。
蘇錫料理(そしゃくりょうり)は文人たちが好んで集ったとされる蘇州や無錫などで発展した蘇州料理と無錫料理が組み合わさってできた料理です。
酒粕を使ったり、近くの湖や河で獲れた食材を使った魚介料理がメインとなります。
淮揚料理(わいようりょうり)は、長江の北、淮安や楊州のエリアで進化した料理で、基本的に淡白な味付けであっさりしています。
スープ料理が多く、巨大な肉団子のスープ蒸し料理「獅子頭」や、川エビを使った五目チャーハンの「楊州炒飯」が名物です。
最後に「除海料理」(じょかいりょうり)については、海産物と野菜を取り入れた味の濃い料理が多いとされています。
魚米の故郷と呼ばれる地域
江南地方は海に面する好立地で、長江や淮河のような河川が複数流れ込んでいるため、豊かな土壌が育ち、大きな平野が広がっているのが特徴です。
このような河川の恵みたっぷりの土地だからこそ、農産物の育ちが良く、あらゆる食材が手に入り、特に水産資源が豊富だったことから「魚米の故郷」と称されます。
6~7世紀頃になると京杭大運河が作られたことで、運河と長江が交流する江南地方は交通の要所となります。
同時期に楊州も港を通じて国際交流の窓口となり発展を遂げてきたこともあり、「海と平地の両方からとれる恵まれた食材」と「商業都市として発展」という要素が重なったため、江蘇料理が発展したと言われています。
あっさりとした味付け
江蘇料理の代表料理には「塩水鴨」をはじめ、「清湯火方」や「松鼠桂魚」そして「卵シューマイ」などがあります。
全体的にあっさりとした味付けとなっているので淡白で、旬の素材を使った料理が多いです。
スープを使った料理が多いことで知られていて、盛り付けも彩り豊かで美しく、味だけではなく華やかさのあるこだわり料理となっています。