広東料理

「食は広州にあり」と言われる中国随一の地域

広東は香港に隣接する中国でも他に類を見ないほど食材に恵まれた地域です。
間近に海があるということから海鮮物を使った料理が多いということが特長で、味付けもあまり刺激が強くない淡白な塩味となっています。

北京料理の油っこさや四川料理の強烈な香辛料と比較をするとやや地味めな印象もありますが、基本的な味付けが和食と似ていることから古くからレシピが国内に伝えられてきました。

代表的な料理としては、八宝菜や酢豚、フカヒレといったものが挙げられます。
横浜の中華街にもこの広東料理を専門にしたお店が非常に数多く見られており、現地のレシピそのままの形で提供をされても抵抗なく日本人の舌が受け入れることができるというところに強みがあります。

豪勢な中華料理のフルコースを表現する言葉として「満漢全席」というものがありますが、これはもともと満州族と漢族の料理の中から選りすぐりのメニューを王族のもてなしとして提供したことに発祥しています。

このメニューは最初は山東地域の料理が主だったのですが、のちに広東料理が多くを占めるようになり、全盛期の西太后の時代には洗練されたもののみが提供される高度な文化に昇華していたようです。

当時の満漢全席の中でもメイン料理とされていたものとして「ツバメの巣」「フカヒレ」「仔豚の丸焼き」「熊掌」「鹿の尾」「ラクダのコブ」「猿の脳みそ」といったものが挙げられます。

今改めて考えると「どうしてこんなものを食べようと思ったんだろう?」というゲテモノぎりぎりの食材も多く含まれていたりします。

実はそれこそが広東料理の真髄であり、とにかくどんなものでも食べてみてそこからうまいものを見つけるという飽くなき食の追求が感じられます。

食材利用の広さは想像を絶します

広東料理の特長を示す言葉として「飛ぶものは飛行機以外、泳ぐものは潜水艦以外、四足は机と椅子以外、二本足は親以外なんでも食べる」というものがあります。
言葉は極端ですが、広東料理の食材として使用されている品物の数は他の料理と比較して数段多いということは確かです。

その食材の範囲の広さもあってか、広東料理は世界各地に展開されている料理の中でも最もポピュラーな中華料理となっており、アメリカなど移民を多く受け入れる国では広東料理を提供するレストランが数多く見られています。

日本の料理においてもっとも影響を受けていると言ってもよいのが「ラーメン」です。
もともとラーメンは「中華そば」と呼ばれてきましたが、これはもともと広東の麺類を元に独自の開発をしたことが起源となっています。

現在も広東や広州の名前を冠した中華料理店も数多くあることから、日本のラーメンの始祖もまた広東にあるということがわかります。