浙江料理

浙江省の特徴

中国の東方中部に位置する浙江省は、東シナ海に面した沿岸部屈指の経済特区であり、北方向には上海があります。
その歴史は古く、12~13世紀の南宋時代には現省都の杭州市に都が置かれ、経済が栄えた省です。
東シナ海のおかげで豊富な海産物が獲れる浙江省では、省内にある最大の河川「銭塘江(せんとうこう)」とその付近の湖からさまざまな淡水魚や川エビなども獲れます。
内陸部でもいろいろな農産物が実り、新鮮な海の幸、山の幸、川の幸など自然の恵みに溢れる風土だったこともあり、素材の味をいかした料理が発展したと言われています。

そのような背景もあり、南宋時代に中国北部から浙江省を目指して多くの料理人が訪れ、北の料理方法が浙江省に広がっていきます。
結果として北の料理人の技術と浙江省の豊かな食材が組み合わさったことで、浙江料理が洗練されていったと考えられます。

4つの地域料理に分けられる

浙江料理は、中国では「浙菜(ゼーツァイ)」または「浙江菜(ゼージィァンツァイ)」と言います。
中国語で「浙江省の料理」を意味しており、その料理は4つの地域料理「杭州料理・寧波料理・温州料理・紹興料理」に分けられます。

杭州料理の特徴は、地域で穫れる旬の野菜をたっぷり使用し、土地の理を活かした自然の恵みを存分に味わえる料理に仕上げていることです。
寧波料理は、新鮮な海の幸をあっさりと淡白な塩味で味付けしていて、温州料理も同じく東シナ海で獲れる海の幸をふんだんに取り入れた海鮮料理が自慢です。

そして紹興料理は名前の通り、紹興酒を使った料理が有名で主に川魚や川エビを食材に用いる料理となっています。
浙江料理で代表的な料理と言えば、龍井茶を使ったエビ料理「龍井蝦仁(ロンジンシャーレン)」が有名です。
他にも「東坡肉(トンポーロウ)」や「叫花鶏(ジャアホワジー)」などがあります。

浙江料理の盛り付けの魅力

浙江料理の特徴といえば、その美しい色合いが見事な鮮やかな盛り付けでしょう。
観光名所の多い浙江省では、すばらしい絶景スポットが点在するエリアとなっていて、その美しさが浙江料理の盛り付けの参考になっているのではないかという説があるほどです。
海の幸と山の幸、さらに川や湖の恵みなど、多種多様な食材が揃うことから新鮮で質の良い厳選食材を存分に使用できたことも盛り付けに影響したのではないでしょうか。

味の特徴としては、上質な食材を使っているため本来の味を損なわないよう塩味でさっぱりとさせています。
食材がすでにいい味を出しているため、調味料に頼る必要がないためでしょう。
浙江料理においては、炒め物や炒め煮、蒸し物、揚げ物といった食材の持つ味をいかに引き出すかを考えた調理法が用いられます。

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