山東料理は大きく3つに分類される
山東料理(さんとんりょうり)は中国にとって重要な料理の1つであり、かつて山東省の地域が魯国(ろこく)だったことから「魯菜(ルーツァイ)」とも言います。
山東料理は大きく「膠東料理」「済南料理」「曲阜料理」の3つに分けることができます。
福山エリアでよく食べられる「膠東料理」は、ナマコやアワビなどの魚介食材を使った料理です。
「済南料理」は内陸の済南や徳州エリアで広まり、淡水魚や豚肉を使った料理が多いのが特徴です。
3つ目の「曲阜料理」は孔子の故郷・曲阜エリアでよく食べられている料理を指します。
全体的にやわらかい歯ごたえで、やや塩辛い味付けとなっており、魚介や肉の臭みを取るために香辛料をたくさん使うので、香りが強い料理と言えます。
また自然豊かで食材の宝庫だったため、彩りが美しく見た目が綺麗なのが大きな特徴です。
油炒め、煮炒め、揚げ物が多く、代表料理としてはナマコ料理の「蟹黄海参」や白濁スープが有名です。
北京料理の原点となった料理
山東料理は北京料理の原点となった料理として有名です。
紀元前8世紀から3世紀、春秋戦国時代には、山東料理の原型がすでにあったと言われており、「泰」や「漢」の経済発展とともに、さらに精錬されていきます。
後の「元」「明」「清」になり、山東料理が北京の皇帝に見いだされ、技術を持つ山東の料理人を宮廷に迎えます。
そうして北京の宮廷料理は山東料理の影響を受ける形となり、結果として現代の「北京料理」は山東料理の進化系となっていくのです。
天津、東北などの地域にも山東料理が影響を与えたと言われており、中国全土の料理に山東料理が深く関わっているということが理解できます。
海産物や野菜類が豊富
山東料理が誕生した山東省は広大な中国の北部にあり、その北部の中でも南側にあたる山東半島を含むエリアで、黄河の下流域になります。
海に面した自然豊かな場所である山東省は、ナマコ、アワビ、フカヒレ、ホタテにエビなど高級な魚介類がたくさん獲れることでも有名です。
さらに、黄河では淡水魚、内陸部では野菜や果物など、高い品質の海産物・野菜類などが豊富に揃う地域ということで、豊かで贅沢な食材を駆使して山東料理が研ぎ澄まされて今日に至ります。
山東料理の代表料理といえば、ナマコ料理や燕の巣のコンソメ煮込みなどの贅沢な料理で知られています。
ほかにも、黄河鯉の甘酢炒めや白濁スープなどがあり、どれもこれも見た目が美しく彩り豊かな高級料理です。
なかなか庶民の口に入りにくい料理ではありますが、北京料理のルーツにもなった料理でもありますので、機会があればぜひ山東料理を味わってみてください。